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2010年 03月 20日
「翼がなくても。」
「翼がなくても。」

連日、紀伊国屋ホールでの、

『トーマの心臓』と『訪問者』の連鎖公演を御観劇頂いていて

誠に有り難うございます。

残すところ、東京でユリスモール役を演らせて頂けるのも

あと2回となりました。

四年前、イグー役を大切に演じていた自分を思い出すと、

今の今でも、

まだ自分が、

まさか今回ユリスモール役に抜擢して頂けている事、

ユリスモールの台詞を、この口が発している事が信じられないキモチです。。。

でも、これは現実で、


現実問題として、

ユリスモール役を演じる事は、とても難しく大変な事であると、

毎日痛感しています。


もっと、自分に能力があれば、、、

度胸があれば、、、

もっともっと、ユリスモールの心をきちんと表現してあげれるのに、

力不足で、不甲斐なくて、くやしい限りです。


ある方から頂いた、手紙にこう書かれていました。

「せっかく与えられた機会なのだから、

 自分の思い描くユリスモールを演じて下さい。」と。


僕の思い描くユリスモール・・・

・・・それがうまく伝えられなくて。

僕は、やはりまだまだです。


でも、せっかく与えて頂いた機会なのだから、

最後まで、今できる事を、

自分の中のユリスモールと重なる、純な部分を

精一杯表現したいです。

そして、今後も上演され続けてゆくであろう

スタジオライフのトーマの心臓に、

”確かに僕のユリスモールが生きていたという証”を

トーマ・ヴェルナーのように、

命を懸けて遺したいです。



普段、スタジオライフを見ない、

野球好きの普通の男の子が、今回たまたま『トーマの心臓』を観に来てくれました。

僕は、終演後、その子に

『トーマの心臓』を見終わった感想を聞いてみました。

正直、こんな男らしい今時の感じの子には、

理解できなかったんじゃないかなぁと思ったし

少年同士に流れる愛とか、

少女漫画の世界観も、

馴染みがなく、取っ付きにくかったのではないかなとも、思ってしまいました。

でも、その男の子は、

「訪問者も観に来たくなりました。」

と言ってくれて、

「トーマの心臓を初めて観て、トーマの心臓というタイトルについて考えさせられました。」

と話してくれました。


僕は、それを聞いた瞬間、ハッとさせられました。


普段、スタジオライフを見ないような男の子が、

トーマの心臓を観てくれて、

何かを感じ、

トーマの心臓というタイトルについて考えてくれるって、

何だか凄く、純朴で素敵な事だと思うのです。



僕が、ユリスモールで伝えようとしていた事。

僕が、僕として伝えたかった事。


僕は、それが何なのか

その彼の言葉で再確認させてもらえた気持ちになりました。

それと、同時に、

トーマの愛が、トーマの想いが、

もっともっと沢山の、トーマの心臓に触れた事ない人達に届いて欲しい、

そして、少しでもいいからその愛について考えて欲しい。


そしたら、

「たとえ翼がなくても、」

「偏見や罪に殺される透明な愛。」


「そんな愛にも、

 自由や解放のひとときが待っているんじゃないだろうか。」


そう思う事ができました。



「翼がなくても、人を愛していいし。」

「それが罪なことでも、愛していい。」


でも僕には、やっぱりそんな勇気はないし、

結局そんな愛に、希望も見いだせない。

悲しくなる。

孤独になる・・・



それでも、僕は普遍を追いかけ、追い求め続けたい。

「いつか救いが訪れるんじゃないだろうか。」


ユリスモールに触れて、

トーマの愛を直接感じていると、



そう思わずにはいられないのです。


「翼がなくても飛べるんじゃないだろうか。」


信じる事は、やっぱりできないけど、

祈る事はこれからも続けていきたい。


それがユリスモールと出会って、トーマの愛に触れた、僕の意味です。


ありがとうございました。
by ill621 | 2010-03-20 03:58


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